今井寿惠「馬に魅せられて ― 40年の軌跡」

フライヤーアーカイブJPの「横尾忠則フライヤー特集」第1弾。
2002年の今井寿惠による馬の写真展。チラシは横尾忠則さんが担当したデザインで「画面中央に配置された蹄鉄」「波に乗った馬」「朝日をバックに駆け抜ける馬」など…一つの画面に収まるにはあまりに不自然なモチーフの数々が絶妙なバランス感覚でレイアウトされています。堂々としたシンメトリーな構図も相まって観るものに強烈なインパクトを放つチラシではないでしょうか。

アバンギャルドなデザイン

レイアウトの方法ですが、横尾忠則がアングラ演劇のポスターで使っていたコラージュ手法を用いているために、一見するとアバンギャルドな現代アートか何かの展覧会かと思わせる強さがありますがその実態は馬の写真展。この意外性が受け手の予想を大きく裏切り、脳裏に焼き付くフライヤーデザインとなっています。

詳細情報

馬を愛し、30年余にわたり馬を撮影し続けている今井寿惠。
イギリス、フランス、アメリカなど各地の競馬場には撮影のための場所が用意され、日本人として国内外で最も数多くの名馬を見てきたと言われる写真家です。今井寿惠は、1931年東京の営業写真館に生まれ、56年「白昼夢」展で鮮烈なデビューを果たします。リアリズム写真全盛の時代にあって、新しいテクニックを駆使し、独自の詩的な世界を写真で表現した作品群は異彩を放ち、一躍新人女性写真家として話題の人となりました。ところが、交通事故により1年半の間視力を失います写真家としては再起不能と言われながら、回復後に初めて見た映画「アラビアのロレンス」で、生命感溢れる馬の姿に感動した今井は、以来今日まで馬を撮り続けているのです。「私にしか撮れない馬でなければ、私が撮る意味がない。馬の生態や記録だけを撮るつもりはない。馬の精神の深さ、格調やフォルム、欠点を含めた特徴を引き出すこと。芸術品である馬の最高の瞬間をとらえるためにも、自分の感性を鈍らせないようにしたい。」と語る今井の写真に見る馬は、まさに「肖像画」と呼ぶにふさわしく、また牧場での馬を捉えたイメージのファンタスティックな世界には、馬への限りない愛情と、馬という動物の魅力を余すところなく捉えようとする写真家の熱い眼差しを感じることができるでしょう。本展では、競馬史上に名を残す数々の〈名馬の肖像)自然の中を駆ける馬の生命の煌めきを詩情豊かに描くガラス絵の牧場)そして豊かな表現世界の原点を探る初期作品を含む約100点を展示いたします。

会期:2002年7月20日(土・祝)~2003年1月19日(日)
主催:清里フォトアートミュージアム
Kiyosato Museum of Photographic Arts(K’MoPA)
後援:山梨県教育委員会、山梨日日新聞社、山梨放送、財団法人キープ協会、ポール・ラッシュ記念センター
協賛:富士写真フイルム株式会社

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