Y.アーネスト·サトウ写真展

「彼は人工的な近代都市のなかに自然の生み出すさわやかな詩の世界を発見し、のびやかな日本の田園風景のなかに人間の活動の軌跡を見出す。そこに見られる自然への愛情と洗練した秩序感覚、あるいは一瞬の鳥の代翔に見られる静と動、光と陰の微妙なバランス、それらがひとつになってアネストの映像世界をしっかりと支えているのである。
高階秀爾
「アーネスト·サトウの残した数々の木々や鳥や雪景色の写真を見るとき、それがニューヨークのリバーサイドパークで撮られた写真だったりするのに、その言い知れぬ繊細さと大胆な単純化の美が、日本の水墨画とそっくりであることへの感動的な驚き。それらはアーネスト·サトウが求めてやまなかった西洋と日本の二つの文化の理想的な融合のユートピアなのである。
森村泰昌
アーネスト·サトウは、写真におけるモダニズムの正統的な継承者だった。安易な感情移入を排して徹底的にものそのものを見つめ、絶妙のタイミングでフレームという形式のなかに切り取ること。そのために、最高の機材ともっとも合理的な現像システムを用意すること。写真家として、また教育者としての彼の足跡から浮かび上がってくるのは、そういうモダンな合理主義者の姿である。」
浅田彰

写真家、Y·アーネスト·サトウ(1927-90)は、アメリカ人を母に持ち、日本人を父として生を受けた。戦後、可能性を求めてアメリカに渡った彼は、そこで写真というメディアと出逢うことにより、その才能を開花させることとなる。フォト ·ジャーナリストとして、『ライフ』誌や『ニューヨーク·タイムズ』紙で活躍し、あるいは写真技術の評論において名を馳せた。また、日本に帰ってからの彼は、教育者としての色彩を強め、京都市立芸術大学において教鞭を執り、そのもとからは多くの芸術家が巣立った。その教えは、それまでの日本の教育には稀であった技法と、芸術全般に及ぶ理論の双方を兼ね備えたものであったという。その生涯を通じ、一つのアイデンティティ-の間を揺れ動き、二つの文化を自らの中に併せ持った彼は、よさに様々なボーダーを乗り越え、彷徨し続けたのだといえよう。今回の展覧会は、彼の没後初の回顧展であり、また一人の芸術家の軌跡を通じて、その追求したモダニズムを検証するものである。

Y. ERNEST SATOW
A RETROSPECTIVE
1998年10月19日(月)-11月7日由
会期中無休
東京都港区赤坂7-2-21
草月会館6F
AM 10:00 ~ PM15:00(金曜日はPM18:00ほで)

YEAR
1998
GENRE
デザイン・アート
SIZE
A4
TASTE
シンプル
COLOR
WHITE

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