お勢登場
本作は、江戸川乱歩の多数の作品群の中から厳選した八本の短編小説を、複雑な手法で編み上げ、一本の演劇作品として再構成したものである。その八本は、乱歩作品の中の二大ジャンル「本格推理もの」「怪奇·幻想もの」の両方から分け隔てなく選んだ。
俳優のほとんどが複数の役を演じる妻の不貞に耐える夫を演じていた俳優が、次の場では浮気者になり、また、とある長屋でマゾヒストだった女優が、別の下宿屋では純朴な画学生になる、といった具合である。これは、乱歩の描く人間の不可思議な多面性を強調する試みの一つでわる。
細分化し、さらにシャッフルした八つの物語は、入れ子構造の複雑な形を取るが、それは舞台美術を駆使した転換によって、ある程度明快に見せる。
「ある程度」とことわるのは、乱歩の迷宮めいた作品世界を表現するには、それなりの複雑さは必要だと考えるためである。
原作:江戸川乱歩(『二銭銅貨』『二癈人』『D坂の殺人事件』『お勢登場IT押絵と旅する男』『木馬は廻るIT赤い部屋』『一人一役』)
作·演出:倉持裕 出演:黒木華、片桐はいり、水田航生、川口覚、粕谷吉洋、千葉雅子、寺十吾、梶原善
美術:二村周作
照明:杉本公亮
音響:高塩顕
衣裳:太田雅公
制作:大下玲美
技術監督:熊谷明人
ヘアメイク:宮内宏明
演出助手:相田剛志
舞台監督:橋本加奈子
プロダクションマネージャー:勝康隆
宣伝美術:相澤千晶
宣伝写真:広川泰士
宣伝スタイリスト:高木阿友子
宣伝ヘアメイク:山口淳
主催:公益財団法人せたがや文化財団/RKB毎日放送·スリーオクロック(福岡)/梅田芸術劇場(大阪)
企画制作:世田谷パブリックシアター
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