メスキータ展 1
メスキータの全貌を紹介する日本初の展覧会。
メスキータ展は5パターンのデザインがあるようです。その内の1枚目を紹介。
版画のようなフライヤーデザイン
画家、版画家、そしてデザイナーとして活躍したと言われるだけあって、絵がグラフィカルでデザイン的。今回のフライヤーではグラフィカルな絵の周囲に凝ったタイポグラフィがレイアウトされており、見た目のインパクトが非常に強いものとなっています。
縦組みのメスキータの文字はおそらくオリジナル書体かと思われます。骨太で力強く、木版画で作ったようなエッジの効いた形。Mesquitaの部分と数字の部分のフォントはPoplarですね。個人的に大好きなフォントで、極太なフォルムと曲線の造形が美しく、直線のみで構成された縦組みのカタカナ文字とのコントラストが面白い効果を生み出しています。
文字の一部が欠けていたりと、フライヤー全体が木版画で刷られたような表現がされてあり、さらにざらついた紙に印刷されていることも相まって絵と地続きのような一体感が魅力的なフライヤーデザイン。完全にモノクロで作成されている点にも注目。
詳細情報
サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ(1868~1944)は、19世紀末から20世紀初頭のオランダで活躍した画家、版画家、デザイナーで、この時代のオランダにおける最も重要なグラフィック·アーティストの1人と言われます。
彼は美術学校で多くの学生を指導しましたが、その内の1人であるM.C.エッシャーは大きな影響を受け、生涯メスキータを敬愛して止みませんでした。メスキータの最大の特色は、木版画のシャープで簡潔な表現にあります。モダン·デザインの興隆を背景に、日本の浮世絵版画などからの影響を取り入れた彼の木版画は、計算し尽くされた構図と、効果的に用いられた明暗のコントラストによって、見る者に強い印象を残します。また、多くの時間を費やして無意識的に描いたドローイングは、シュルレアリスムの自動筆記にも通じる自由な発想に満ちており、メスキータの別の一面を示しています。
1944年1月31日、すでに70歳を超えていたメスキータを悲劇が襲います。ユダ
であったメスキータは家族もろともゲシュタポに逮捕され、ほどなくしてアウシュヴィッツで亡くなりました。アトリエに残された膨大な作品の一部は、エッシャーや友人たちが決死の思いで救い出し、戦争中も命懸けで守り抜きます。メスキータの名が今日まで残ったのは、エッシャーをはじめとする人々が、戦後に展覧会を開催するなど、その顕彰に努めたからでもあったのです。本展は、今年没後75年を迎えたこの知られざる画家の仕事を回顧し、その魅力に触れる絶好の機会となります。
主催:東京ステーションギャラリー(公益財団法人東日本鉄道文化財団)
余談
今回のメスキータ展のフライヤーですが、管理人がTwitterで「このフライヤー欲しいなぁ」とつぶやいた所、Art Museum Flyer Collectionさんがフライヤーを提供してくれました。国内で美術系のフライヤーをまとめているサイトはわずかなので、その中の一人と繋がりができ嬉しい限りです。今回は本当にありがとうございました。
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