パルテノン多摩×劇団子供鉅人 夏の夜の夢

パルテノン多摩×劇団子供鉅人によるシェイクスピアの祝祭劇「夏の夜の夢」のフライヤー

無数のオブジェクトを1画面内で混在させるテクニック

手書きのイラスト、CG、写真など様々な要素が一つの画面内に混在したカオティックな印象のデザイン。
加えて作者名や出演者名なども入れているので非常に情報量の多いフライヤーである。
これだけ多くの要素をどのような法則でレイアウトしたのか?一見ランダムに要素を置いて『センス任せ』で作ったかのように見えるが、
文字情報がきちんと優先順位を持って目に入ってくる点など、フライヤーとしての機能はしっかりと果たしているデザイン。
画面を見やすくしている工夫はなにか?要素を分解してデザインの骨格を見つけてみよう。

4分割構図で大まかな骨格を作る

4分割構図は画面を縦横に4分割して、交点もしくはライン上にオブジェクトを配置するレイアウト手法。
この手法を用いることでレイアウト上の安定感とバランスをとり、デザインにおける強固な骨格を作りあげている。
一見グリットシステムから逸脱したようなデザインに見えるが、下記の図を見ても分かるように4分割構図のライン上に多くの要素が乗っている。


タイトル文字の縦ラインと作・演出の横ラインに主たる文字要素がある

レイアウト全体の骨格をしっかりと作り、土台を固めた上でその他の要素は思い切り遊ぶ。文字の間に散りばめられた浮遊感のあるイラストもノイズにならずに心地よい。一見ランダムに、感覚の赴くまま配置したかのようなレイアウトにもこのような工夫が隠されていた。

明度対比によってタイトル文字をしっかりと見せる

シアンとマゼンタで作られたマーブル模様+黄色のハートが背景の役割を果たしている。この明るい背景の上にタイトルの暗い紺色が乗ることではっきりとしたコントラストが生まれ、最初に演劇タイトルが目に入りやすくなっている。
いわゆる明度対比であり、タイトル文字にのみ対比効果を用いているあたりがこのフライヤーデザインの潔さを感じる。シェイクスピアの名前も目立たせても良さそうなものだが、要素の多さ故か思い切った割り切りだろう。

マーブル模様の色に呼応するように、タイトル以外の文字と写真もシアンとマゼンタで作られている。そのため背景の要素に溶け込んでおり大勢の演者の名前もゴチャつくことなく全体のデザインと統一感が図られている。

特徴的な文字表現

「夏の夜の夢」のタイトル文字が立体的で目を惹く。あまり見たことのない表現で面白い。このような思い切った表現ができるのも演劇のフライヤーならではだと思う。

タイトル文字とその他の文字のジャンプ率の高さもこのフライヤーの大きな特徴だ。受け手のフックになる情報のみを大きく扱うことでデザインとしてのインパクトを強めている。


似たテイストのデザイン

NemoWV1《主よ、根本は逃げ出した》

毛利悠子ただし抵抗はあるものとする

阿部展也―あくなき越境者

ニューシャンバラディ プリミ恥部な世界