野口哲哉 「~中世より愛をこめて~ From Medieval with Love」
鎧をまとっているのは人間ではなく、愛なのかもしれない。
どの時代に生まれていたとしても、人の在り方は根源では変わらない。皆が精一杯、現実を生きている。私たちの感情は時代や国、あらゆる民族を超えてつながって、繰り返されている。野口哲哉の作品に接した時に、静かにこみ上げてくる共感性は現実の矛盾を生きる私たちと同じものだ。
寂しくて心細い日、疲れて眠りたい日、友人とたくさん笑った日。何気ないふだん、気にも留めなかった瞬間の、人びとの輝き。そこに在る自然体の美しさ。彼独自の色彩とシルエットで宿った生命は、すぐ傍らでリアルに、観る人のさまざまな気持ちに寄り添ってくれるのだ。
人と人だけでなく、土地や時間にも無数の愛が行き交っている。鎧をまとっているのは人間ではなく、愛なのかもしれない。人間の営みはきっとこの先何百年も変わらない。
身に着けている物がほんの少し違うだけなのだろう。
~中世より愛をこめて~
現代から近世、そして中世…。
時間を遡るほどにファンタジーと化してしまう文明と人間の姿を、
同じ人間としての目線で見つめ直してみたいと思いました。
遠い過去や、遥かな未来、あるいは宇宙や異世界をモチーフにした夢物語であっても、
そこに人が住み社会を作るという意味では大きな違いはありません。
満ち足りた現代だからこそ出来る客観性や優しさがあります。過去を見つめて、
遠い歴史を新しい美術へと変える事が、自分にとっての現代美術です。
中世より愛をこめて、鎧を纏う人々の中に僕達と同じ感情を探してみたいと思います。
野口 哲哉
会期:2018年7月13日 ~ 9月2日
開館時間:11:00~20:00 (入場は 19:30 まで) / 入場無料
会場:ポーラ ミュージアム アネックス
(〒104-0061 中央区銀座 1-7-7 ポーラ銀座ビル 3 階)
アクセス:東京メトロ 銀座一丁目駅 7 番出口すぐ / 東京メトロ 銀座駅 A9 番出口から徒歩 6 分
主催:株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
URL:http://www.po-holdings.co.jp/m-annex/
協力:ギャラリー玉英
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