北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ

2015年8月15日。北朝鮮の祖国解放70周年記念日に招待された“初”の海外ミュージシャン──それは、ナチスを彷彿とさせるパフォーマンスで物議を醸すロックバンド、ライバッハだった。

LAIBACH ライバッハ

ライバッハは1980年にスロベニア(旧ユーゴスラビア)で結成された。当初彼らは前衛的なアート集団で、実験的な音楽とパフォーマンスで反体制的なメッセージを伝えていたが、当時ユーゴスラビアは共産主義国家。ライバッハは当局から目をつけられて、警察によってライブが中断されることもあった。それならば、とバンドはヨーロッパ・ツアーを敢行。ナチスを彷彿とさせるユニフォームを着用するなど、ファシズムを揶揄したビジュアルとパフォーマンスが強いインパクトを与えて話題を呼んだ。一方、サウンド面では、テクノとクラシックとロックをミクスチャーした独自のスタイルを確立。そのサウンドは「インダストリアル・ロック」と呼ばれた。そして、イギリスのミュート・レーベルからリリースされたサード・アルバム『Opus Day』(87)は、日本盤もリリースされるなど海外でのブレイクのきっかけになった。続く『Let It Be』(88)はビートルズのカヴァー・アルバムでファンを驚かせたが、ポール・マッカートニーはコンサートで本作の収録曲を流すほど気に入っていたとか。『Let It Be』以降、カヴァーはライバッハの重要な音楽的アプローチとなったが、世界中の国家をカヴァーしたアルバム『Volk』(06)では「君が代」を歌った。国際的な成功を収めたライバッハは、現在に至るまでコンスタントに活動を続け、映像と音楽を融合させたライブも高く評価されている。

監督:モルテン・トローヴィク ウギス・オルテ

YEAR
2016
GENRE
映画
SIZE
A5
TASTE
アバンギャルド
COLOR
BLACKRED

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