永井一正ポスター展
永井一正の突然変異 横尾忠則
永井さんの作品は、初期の抽象デザインから今日の動物シリーズまで3期に分けることができるが、目下4期目を形成しつつある。初期のデザインから知る者にとっては、動物シリーズの出現は突発的な「事件」としかいいようがない。永井さん個人にとっても事件だが、自然界における突然変異と同様、デザイン界の突然変異でもある。しかし、今や永井一正といえば動物作家といえるが、動物に留まらず虫や植物まで自然界を相手にし始めた。またその描写力は、かつての定規やコンパスを捨て、細いペンに持ち代え、まるで獄中記でも書くように空間を小さい点で埋めてゆく。「ア〜シンドー」と思わず溜息が出るミクロ的世界だ。そのミクロ的世界が、気がつくと、マクロ的世界に反転してしまっていることにわれわれは気付く。そしてそこには、かつての饒舌的な極彩色世界は消え、寡黙なモノトーン世界への移行が始まりつつある。しかし油断はできない。まだまだ永井さんは、次なる秘密兵器を捜し持っているに違いないからだ。
ギャラリートークのご案内
出演=永井一正+横尾忠則
日時:2004年1月23日(金)18:00 ~ 19:30会場=DNP銀座ビル5F0入場無料/定員70名
会場=DNP銀座ビル5F0入場無料/定員70名
※このイベントは2004年のものです。
後援:富山県立近代美術館、DNPグラフィック・アーカイブ
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